J.G. FRANCIS – MERCEDES MOTORING

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J.G. FRANCIS – MERCEDES MOTORING

ロサンジェルスのストリートで、見とれるように美しいヴィンテージのメルセデス・ベンツ車を目にしたならば、それはほぼ間違いなく、メルセデスモータリングのオーナーであるJ・G・フランシスが愛おしんでレストアした車である。ディテールと高級感にこだわった職人技に関して、非の打ち所のない慧眼を備えたフランシス氏は、走行距離の少ないヴィンテージ・メルセデスを収集し、それらがかつて有しだろう輝きを取り戻させている。
プリウスよりも、自動車史が生み出したクールなクラシックカーを選択する価値について、彼に話を聞いた。

クラシックカーを所有している場合、往々にしてその所有者にはかなりノスタルジックな思い出があります。あなたのクラシックカーへの愛着心は幼少期の記憶にまで遡ることができますか? あるいは、人生のある段階において、ノスタルジックな影響を受けた記憶がありますか?

私の車に対する愛着心は、14歳ごろに芽生えたのだと思います。その頃、よく夜遅くに、道路に止まっていた父の1979年製シボレーLUV にこっそりと乗り込んでは、従兄弟を乗せてドライブを楽しんでいました。当時の型やモデルに夢中だったからというわけでもないのです。そこにある種の自由や、警察に止められるかもしれないというリスク、秘密の楽しみを感じていたのでしょう。シボレーLUV を見ると、今でも非常にノスタルジックな気持ちになります。

確かに、窓を下げてクラシックカーでクルージングするほど満足感を味わえる遊びは、そう思いつけませんね。ゴージャスなカリフォルニアの太陽の下では、特に。この雰囲気を体現している、あなたにとって象徴的と言える映画や写真などはありますか?

ランディー・ニューマンの「I Love LA」のミュージックビデオをまだ観ていないなら、今すぐ観たほうがいい。冗談ではなくて。

あなたが専門にしているメルセデス・ベンツに近い特性を持つヴィンテージカーはありますか? ほかの型にも取り組んでみる予定は?

ポルシェには計り知れないほど尊敬の念をこれまで抱いてきました。ほかの車に関する製作プランは特にありませんが、将来的には、ぜひ挑戦してみたい。自らの手で、フォルクスワーゲンのノッチバックを製作してみることを何年も夢見てきましたから。

この仕事を専門職にすることは、あなたが受けた学校教育にも通底しているように思います。当時、あなたが「計画」していた人生とは、どのようなものでしたか?

今、私が計画しているものと変わりません。世界を見ること、そして、可能な限りの冒険と愛を自分の人生に織り込んでいくことです。かつて「計画」した、金融や物書き、あるいは環境工学をやる代わりに、私は自分の描いた夢を実現するために、今、車を製作しているのです。自分が心から愛しているキャリアを持つことができて、さらにその仕事のおかげで旅をして回ったり、冒険することができて、私はとても運が良かったと感じています。

あなたの作る車の内装には、ディテールに対する驚くほど細やかな視点と、当時の美しさへの深い理解が表れています。スタイルとディテールに対する視点の背景には、どのような影響がありますか?

多くの場合、内装は私の親友でビジネスパートナーのショーン・ジョンスタン、通称ファットラッキーズのヴィジョンによるものです。彼は縫綴機を扱う名匠です。自分がこれまで生きてきた中で、彼ほどの名匠は、片手で数えるほどしかいません。彼が友人であることは、私にとってとても幸せであり、誇らしく思っています。彼は私に、人生やビジネス、車の製作について、本当に多くのことを教えてくれました。

車の購入を通してこの業界に携わるようになったとどこかで読みました。あなたはその後、車について勉強したのですか? それとも、すべての工程を理解できる土台のようなものが、そもそもあったのですか?

私はこの仕事の大部分を、独学で学びました。とはいえ、私は若い頃から物事を系統的に考えるタイプで、ディテール指向の人間でもありました。6歳の頃、食料庫に並べられていた缶詰がすべて同一に見えるように、ラベルを剥がし取ってしまったことを覚えています。視覚的にはとても心地良いのですが、母はあまり嬉しそうではなかったですね。

ある日突然、見知らぬ老人のガレージに呼ばれ、彼が防水シートを取り払うと、目の前には輝く宝石のような素晴らしい車があった、というような衝撃的な体験をしたことはありますか?

一度テキサスの農場で、外に放置してあったシェルビー・コブラの原型を生で目撃したことがあります。そのシェルビー・コブラは埃まみれで、20年くらい窓が半分空きっぱなしでした。車の上に屋根はありましたが、周囲を囲んでくれる壁はありませんでした。ほとんどの時間を外気にさらされたまま過ごしてきたのでしょう。闘鶏が鎖でその車に繋がれていましたよ。当時であれば、100万ドル程の価値はあったでしょうね。今だと、おそらく倍の価値があるはずです。

今まで何かから遠ざかったり、そのことで後で後悔したことはありますか?

覚えている限り、そのような経験はありません。自分が欲しいと思うものを「買う」ことが出来る場合は、たいてい手に入れています。つまり、車を買い逃した経験が無いというわけではなく、自分が欲している車からは、自ら遠ざかったりしない、ということです。もちろん、ほかの購入希望者に負けて買えなかったことも、過去には多々ありました。でも、だからといって後悔しているわけではないんです。

製品を完成させるまでの工程はどのようなものですか?

作業工程は、時間がかかるので時にうんざりしますが、製品を洗練させ、より有能で優れた車にするために、常に腐心しています。より良い製品を作り続け、仕事の質を向上させていくことが、私たちの目指すゴールです。私たちはその目標を常に達成し、更新し続けている、とも言えると思います。ほんの3、4年前に作った車でさえ、時々見てみると、自分たちがいかに仕事の質を向上できたか、ひしひしと感じます。そんなときは、いつもいい気分になります。

私は、いつかクラシックカーを買おうと思い続けているのですが、子どもがいて支出が増えると、良いタイミングをいつも逃してしまいます。こんな考えを覆す優れたアドバイスはありませんか?

クラシックカーが実際の走行において、どれほど信頼性があるか知れば、きっと驚嘆しますよ。クラシックカーは、他のあらゆる新車と同じように、日常的なドライブに使用することができるのです。私の考えでは、クラシックカーは新車よりもはるかに信頼できる。そしてクラシックカーの価値は、常に高く評価されているので、投資の対象としても優れていると言えるでしょう。現行の車は、そうはいきません。つまり一般的に、車とは短期間で価値がどんどん下がるもの。正反対ですね。私は今40歳で、16歳の頃からクラシックカーを運転していますが、製造から30〜40年経った車を運転すると、新車では味わうことのできない独特のニュアンスを感じます。けれども、私はそんなニュアンス以外の価値のほうが、はるかに重要であると考えています。例えば、登録費や保険料が安いこと、走行性能が非常に高いこと、価値が落ちないこと、ディーゼルなので燃費に優れていること、など……。何より、クラシックカーの運転席に飛び乗って道路を走るのは楽しくて仕方がない、ということです!

現在運転に使用している車は?

1973年式250Cクーペ、1973年式280Cクーペ、1973年式206Dハノマーグキャンピングカー、1975年式300Dセダン、1979年式250Tワゴン、です。

www.mercedesmotoring.com

INTERVIEW BY SARAH ANN HARTZOG
PHOTOGRAPHS BY LANI TROCK